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2008.07.25 Friday * | - | - | -
* 6:イフー山
 学問所に入ったばかりの頃だった。
 リウは近所の子供を従えて遊ぶお山の大将だった。恐いものがなかった。いうことを聞かないものはこぶしで従えた。
 ある時、山からやってきたサジという子とどちらが強いかかけをしようという話になった。勝った方がみんなを牛耳るのだ。
 サジはイフー山の山頂の岩場にどちらが長く立てるか勝負しようと言ってきた。
 イナが止めるのもきかず、リウはすぐに受けた。
 月明かりの夜、こっそり家を抜け出してリウと何人かの子供はサジの待つイフー山に向かった。それに気づいたイナは、リウの父に知らせに走った。
 イフー山は風が強いことで知られている。
その山頂は岩場になっていて、そこから見下ろすと、絶壁になっていて、底も見えないほどだった。
 大人でもそこに立つと目を廻す。
 知らせを受けてリウの父イハンはすぐさま追いかけた。
 イハンとイナが着いた時、リウとサジのふたりは並んで岩場の端で強風にあおられていた。
 そしてまさにその時、イハンの目の前でふたりは大きくふらついて倒れそうになったのだ。イハンは飛びつくようにふたりの手を取って引いた。
 が、そのいきおいでイハンの足下の岩はくずれ、リウの目の前で絶壁のはるか底へと吸い込まれるように大好きな父さんは落ちていった。
「父さーん!!」
「おじさーーん!!」
 サジは青い顔をしてへたりこみ、リウとイナは声を限りに叫び続けた。
 あれから6年。
 イフー山の底に落ちた者は足場がなく、誰も助けに行けない。
 父さんは今もそこにいる。

 母さんは一言もリウを責めず、抱き締めてくれた。
 あれからリウはまわりの子供を従えるのはやめた。どこか距離を置くようになった。それでもリウのそばを片時も離れないでいるのが、いとこのイナと無邪気なサリだ。
(オレは、自分のこの熱くなる闇がほんとはほとほといやなんだ。このせいで父さんは死んでしまった。だけど、オーネンやカリフが言うように、これが何かの役に立つこともあるんだろうか?)
2006.07.31 Monday * 14:38 | Story | comments(0) | trackbacks(0)
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2008.07.25 Friday * 14:38 | - | - | -
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