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2008.07.25 Friday * | - | - | -
* 4:弓
「大きな戦がなくなって久しいが、なぜ弓をやると思う?」
 カリフ先生は学問所の森で、しなやかな白い弓を手にみんなに問うた。
 みなの注意を引きつけたことを確認すると、続けた。
「今起こっている戦に立ち向かう杖とするためだ。」
 そういって弓をはじいた。
「どういう意味ですか?」
 サリがつぶやいた。
 カリフは笑うと言った。
「ほんとうの戦はここにある。」
 そう言ってむねを突く。
「ひととひとの争いはそれが表に出たものだ。ひとは相手と戦っているのではない。いつも自分のこころと戦っている。」
「弓は自分のこころがあらわになる。弱いこころでは届かない。ひとりよがりならばずれてしまう。激しければ弦を切る。どれも的外れだ。」
 そういってみなの顔を見回す。
「戦わぬこころを学ぶために弓を引く。わかるかい?」
 みなはうなずいた。
 ひとりひとりに合った弓を選び、ひとりひとりの手を取っててほどきを始めた。
 リウの番になってカリフはひときわ丈夫な弓を取った。
「ほんとうの強さを知った時、これも引けるようになる。リウにはこれも引ける力がある。」
 手に取った。引こうとした。半分も引けなかった。
「それを持ちなさい。」
 ひとりひとりに弓は預けられた。
 授業の最後にカリフは竜笛を吹いた。竜笛は天と地を結び、竜が舞う笛だといわれ、祭りの時に吹かれる。
 その物哀しくも果てしなく希望に満ちた笛に、リウはこころを揺さぶられた。
 
2006.07.28 Friday * 12:15 | Story | comments(0) | trackbacks(0)
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2008.07.25 Friday * 12:15 | - | - | -
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