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2008.07.25 Friday * | - | - | -
* 3:カリフ
 翌朝はいつものように学問所の授業だった。 
 リウは迎えに来たイナと、サリの家に寄って、いつものように3人で丘の上の学問所に向かった。
 けれどももうすぐ学問所が見えてくるという坂道の途中で、リサイたち5、6人の待ち伏せにあった。
「きのうはありがとよ。今日はそのお礼を言おうと思ってな。」
「リウ、きのう、リサイと何かあったのか?」
 イナがささやく。
「殴ったんだ。」
 イナは眉を寄せると叫んだ。
「走れ!」
 3人はリサイたちを突き飛ばして走ったが、後ろで声がしてリウとイナは振り返った。
「このチビっ子はいらねえのか?」
 サリがリサイの仲間に羽交い締めにされていた。声も出せずにもがいている。
「離せ!」
 イナが叫んだが、リサイたちはにやにやするばかりだった。
 リウは自分の内側が沸騰してくるのを感じていた。
 イナはリウの瞳にいつもの紅い色が灯ってくるのを見ると、間髪入れずリウより先にリサイたちの中に飛び込んだ。たちまちイナは何人もに殴られて地面に叩きつけられた。
「イナ!」
 リウとサリが同時に叫んで、リウはリサイに飛びついた。
 その時だった。リウがリサイからはがされて、リサイが悲鳴をあげたのは。 
 群青の髪をした背の高い身の引き締まった男が、リサイの身動きを封じていた。
 リウも首根っこを掴まれて動く事が出来ない。
「往来でけんかか?通れないだろう?まだやるか?」
「いてててて!助けてくれ!」
 リサイはどこをどう封じられているのか、情けない声を出した。
 どさっと投げ出されると、戦意が失せたのか、リサイは仲間たちに声をかけた。
「い、いくぞ!」
 パラパラと三々五々、振り返りながらリサイたちは坂を下っていく。
「だいじょうぶか?」
 男はしゃがむと、イナに声をかけた。
「だ、だいじょうぶです・・。」
 イナは額から血を流しながら、ゆっくり起き上がった。
「大事をとった方がいい。もうそこが学問所だ。わたしが担いでいこう。」
「ありがとう・・。」
 リウは男の顔とイナの顔と交互に見つめながら、殊勝な声を出した。
 イナがくすっと笑った。
 サリがはしゃいでいた。
「すごかったねえ、どうやってやったの?リサイがおとなしくなっちゃったよ!」
「行こうか。」
 男はサリに微笑んだ。
 学問所に血だらけのイナを担いで入ると、みんなが騒ぎ出した。すぐに白髪混じりのハス先生がやってきた。男は告げた。
「ハス先生、カリフです。」
「おお、カリフ!待っていたよ。いったいどうしたんだ。」
「けんかです。彼を寝かせたいんですが。」
「ああ、いいともまずはこっちへ。」
 イナが連れて行かれて、リウとサリはみんなに囲まれた。
「どうしたんだよ?リサイか?」
「あれ、誰だ?」
「知らない。」
「今日から来る先生がカリフっていってたよ。」
 誰かが言った。
「じゃ、そのカリフだ。」
「強かったよお!リサイは身動きできなくなって助けてくれだって!」
 サリはうれしそうにみんなに語ってきかせた。
 時間が来ても授業にならずに騒いでいるところへ、ハス先生とカリフが帰ってきた。
「イナは?」
 リウが聞くと、カリフはにっこり笑って答えた。
「大丈夫だ。脳震盪を起こしているから、しばらく休んでもらう。」
「さあ、みんな席について!新しい先生を紹介しよう!カリフだ。今日から、弓と竜笛の授業を受け持ってもらう。」
「よろしく。」
 みんなはこの若々しく頼もしい先生をまぶしげに見つめた。
2006.07.27 Thursday * 13:19 | Story | comments(2) | trackbacks(0)
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2008.07.25 Friday * 13:19 | - | - | -
Comment
読みやすくて、するする読んでしまった。
自分の中にあることのよう。炎、あるなあ(^_^;)
またまた、楽しみにしています♪
| のり | 2006/08/01 11:27 PM |
だいたい毎日更新予定ですので、どうぞごひいきに!(^-^)”9月中くらいに全文UP終了予定です。続編の準備にも入っております。(そちらは来年予定です)お楽しみに!

| Iwasawa Kumi | 2006/08/04 6:36 PM |









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